第9章 たいせつなこと
レジーヌが渡してきた若草色の箱をマキアが触れて魔法陣が展開され
自らの膝上に乗せた箱をゆっくり開けたマキア
中にはビッシリと大量の封筒が重ねて立てた状態で入っていた。
たくさんの封筒の中で1つを取り出す
封筒の表面には
《マキア・ミへーラフィ様へ》
「これって……」
マキアは呟き
見覚えのある字にすぐに封筒の裏を見ると
開いてはあるが封をしていた蝋が残っていて、そこには花の模様とSが組み合わさった家紋があった。
「ラヴァの花にS……お養母さま(おかあさま)、これって!」
マキアが顔を上げてレジーヌを見る
レジーヌはゆっくり頷き
「そう……貴女の家族であるシンディ男爵家からの手紙よ。」
その言葉に驚き、封筒の表面を再度見るマキア
ギルヴァも驚く。
マキアは封筒の表面の文字を見て、優しく触れながら
「……父様(とうさま)の字だわ……」
「時が経っても字で分かるものよね……マキアがミへーラフィ侯爵家に養女として来て一週間経ったくらいに手紙が来たのよ。」
大切に手紙を持ちながら話をするレジーヌの方を見るマキア
「手紙はお養父様(おとうさま)が処分をしてしまったかと……」
「ズイキは、マキアにシンディ男爵家との関わりを禁止していたのよね……たまたま初めてのシンディ男爵家からの手紙を受け取ったのは私なのよ。」
「そうなのですね……」
「手紙が来たことは伝えずに、メイド達にも口止めをさせて、別日に何となくズイキに、貴女宛の手紙が来たらどうするかを聞いたら、自分に渡すようズイキは言ったわ。」
「だが……侯爵には渡さなかったのですね?」
ギルヴァの言葉に、レジーヌはゆっくり頷く
「何か重要な内容だったらと思って中身は見させてもらったわ……そして、シンディ男爵家にはマキアは学ぶことを集中させる為に返事は書けないのを伝えたわ。」
「それなのに、この手紙の量なのですか?」
「返事が書けない事を伝えた私宛に、その箱と一緒に手紙が届いたわ。…………『手紙の中身は確認してもらっても大丈夫なので…いつか、娘が手紙を書けるようになってからで良いので、箱に手紙を保管して渡して欲しい。』と書いてあったのですよ。」