第8章 いしゅぞく
「私は仕事が残っているので、ここで失礼する。レジーヌ…お前がきちんと2人をもてなせ。良いな?」
ズイキは立ち上がりレジーヌを見やると、
レジーヌも立ち上がり椅子の横でズイキに一礼する
マキアも立ち上がろうとするがギルヴァに握られた手の力が入り止められる
「マキア、開会パーティーにはそれ以上に着飾るようにしなさい。」
「お義父様……」
マキアの呼びかけを無視したズイキはギルヴァの方を向き
「ガイベルド大将軍、娘に婚約者となる相手が見つかるまで…パートナーとして出来る範囲で行動するよう願ってるよ?」
「……フッ……大切な娘さんのことを考えて行動するので心配するようなことはないかと思いますよ。」
ズイキの挑発に対して
挑発とも思えるような言葉で応えるギルヴァは座ったまま軽く一礼する。
ズイキは眉間にシワを寄せながらお茶会の場を退出した。
レジーヌはズイキの姿が見えなくなるまで下げていた頭を上げ、マキアとギルヴァの方を見て席に座る
「せっかくのお茶会がこんな疲れるなんて思わなかったわ。」
軽く溜息をつくレジーヌは2人の前だからか少し気だるそうにしながら言葉を零してスイーツを手に取る
マキアはギルヴァの手から離れて立ち上がり
「お義母様…お義父様が話をした婚約者候補のことを考え直すよう言ってください。」
「何故…言わなきゃいけないの?……マキア、結婚適齢期というのは分かっているでしょう?婚約者が居てもおかしくない年齢ですよ。」
「ですが…私にはパートナーのギルヴァ様がいますわ!」
「パートナー……それだけですよね。婚約者でもない。婚約前提の交際相手でもない。違いますか??」
「それは……」
マキアの言葉が詰まる
レジーヌは話を続ける
「スヴァガルの事は本の知識でしか知らなかったですが、魔族との関係は人間みたく簡単に進められることではない。それが異種族同士ということ………普通の人間ならばスヴァガルを始めたら、他人のそれも異種族である魔族の魔力に耐えられず身体を壊すとも聞きましたわ。」
レジーヌの言葉に、マキアとギルヴァの2人はスヴァガルをした初日の夜に魔力が荒れた事を思い出す。