第8章 いしゅぞく
「だがなぁ?……」
ふと今まで丁寧だった口調が崩れ、ギルヴァの声色が冷たくなる
「俺はミへーラフィ侯爵令嬢にパートナーという関係を受けてもらい、スヴァガルも真摯に受け止めてくれてる事に感謝してるんですよ。」
薬の効果がありながらも冷たい目つきでズイキを見るギルヴァ
その目にズイキはお茶を飲んでいた手が止まり睨む
「ほぅ?……我が娘に感謝か……なら、婚約者は……」
「しかし…ミへーラフィ侯爵令嬢に婚約者をというのならば……」
ズイキの言葉に被せたギルヴァは
左手を横にして掌を上に向けると黒い魔法陣が展開され
柄部は紅色に刃部分は漆黒の薙刀が現れて、
ギルヴァの左手に乗り、明らかに重く見える薙刀を軽々しく回し縦にして置いて
そして右手は隣にいるマキアの手を優しく握る
「マキアの現在のパートナーは俺なんですよ。婚約者という奴には是非に俺と手合わせして頂きたい。どれ程の実力か……マキアに相応しいのかを……ね?」
そう言いながらニヤッと笑うギルヴァ
ズイキは大きく溜息をついて、ガチャン!!とティーカップを置く
「ガイベルド公爵家という家柄なのに随分と恐ろしい提案をされるんですなぁ?ガイベルド公子…」
「俺は魔族なんでね?…そう簡単にその辺の奴にマキアを渡そうと思えないんですよ。それに俺は軍のトップという立場もある…男なら話すより力のが分かりやすいかと思いませんか?ミへーラフィ侯爵…」
「ハッ……力で分かりやすくか……そんな野蛮な行為に同意しろと??」
先程までの友好的な雰囲気から一変…
ギルヴァとズイキは睨み合い
雰囲気は殺伐としてしまう
その状況にマキアが口を開こうとすると……
「見つかりそうなのですか??」
ゆっくりとティーカップを置いて口を開いたのはレジーヌだった。
レジーヌの言葉に、マキアは驚き
ギルヴァはレジーヌの方へ視線を向ける
ズイキが横にいるレジーヌの方を見て
「レジーヌ……今なんと??」
レジーヌは小さなスイーツをいくつか自らの皿に乗せて
ズイキの方を見ながら
「もう一度言いますね。ズイキ…」
ズイキを見るレジーヌの目は冷ややかに見えるが真剣