第8章 いしゅぞく
「ガイベルド公令息様、突然すみません。私ったら、うっかりしていたのです!マキア様の為にたくさんのドレスやアクセサリーを用意したのだけど、パートナーであるガイベルド公子様の召させる服の色をお聞きしてなかったのです。」
ホホホッと笑いながらそう話すアージアに、
エンツォはハンガーにかけてあった紺色に白の装飾のあるジャケットを持ちながら
「こちらがギルヴァ様がお召しになるジャケットです。」
「あら、素敵ですね。これなら合うものが2着ほどあったはずですわ」
そう嬉しそうに言ったアージアだったが軽く咳払いをして
「ガイベルド公令息様に何かあったのかとマキア様は心配のご様子でしたよ?」
「いや……何もない……」
アージアの尋ねた言葉に頭をかきながらギルヴァは視線を反らす
「お忘れかもしれませんが、マキア様はガイベルド公令息様の魔力が身体の内にございます。だんだんと取り込む魔力が増えていけば、魔力を通じて感情が感じ取れる事が稀にございます。もちろん反対も同じです。それがスヴァガルを行っているパートナーということなのですよ。」
アージアが微笑みながらも真剣な声色でそう話す
見ていないが、先程の薙刀を出した事により魔力が揺れ
マキアは内にある魔力に小さな違和感を感じたのだ
防音仕様になってるホテルの壁だから何があったか分からないが
その小さな感じたことが気になり、
ギルヴァがいる隣の部屋を何回か見たのを、アージアは見逃さなかった。
そんな話を聞いたギルヴァは気まずそうな顔をして
「すまん。ちょっと感情が揺らいだ。」
「感情を抑えろとは申しません。それで良いのです。ただ、パートナーであるマキア様がいることをお忘れなく…」
優しく言いながら微笑み、深く一礼したアージアは出て行った。