第7章 てがみ
「うーん……どれも素敵で困るわ…」
色んな色の紙に
それぞれ動物や鳥や花や星などのモチーフが飾られてる便箋
1枚1枚を両手を使い手に取り悩むマキア
そんなマキアに優しい笑みで見守る雑貨商人の初老店主
「真剣に悩まれるなんて大切なお手紙を書かれるのですか?」
「あっ………えぇ……とても大切で……大事な人に送るんです。」
頷きながらもまた違う便箋を手に取るマキア
「すみません……こんな悩むなんて思わなくて……」
「謝ることはございませんよ?ミへーラフィ侯爵令嬢……とても素敵なことではありませんか?」
「へ?……素敵ですか?」
「えぇ……今は通信系の魔道具が流行ってきて手紙を使う人もいますが、昔ほどに紙にこだわる方は少なくなってきました。」
そう言いながら店主は、1つの便箋を持ち優しく撫でる
「私らが若い時には手紙しか無かったのもありますが大切で形に残る思い出の品となったので、こうやって真剣に悩みながら選ぶミへーラフィ侯爵令嬢を見て昔を思い出して懐かしい気持ちになりました。」
「そうなのですね……すっごく久しぶりに書くお手紙なので悩んでしまうのです。どの便箋なら気持ちが伝わるのかなって……」
「そうですか……久しぶりに……それは楽しみだ。」
「え?楽しみ?」
マキアの言葉に頷く店主
「長くお手紙を書けなかった相手へ送るのでしょう?色々な不安や緊張はありましょうが……楽しむと良いですよ。書く楽しみや返事を待つ楽しみ……この便箋選びも楽しみの1つですよ。気持ちが届きますよ。」
「へぇ……いい事言うじゃねぇか?」
店主の言葉にフッと笑いながらギルヴァも話に入ってきて
店主は、ハッハッハッ!と笑いながら
「大将軍のガイベルド様にそう言って貰えて嬉しい限りですよ。ミへーラフィ侯爵令嬢、悩む時間はいくらでもどうぞ。その悩む相手への気持ちを大切にした方がいいですよ。」
店主のアドバイスに
微笑みながら力強く頷き…はい!と返事をするマキア