第1章 はじまり
そんなローグラの言葉に辛い思いをさせてしまったとギルヴァは悔いながら、アラバサ皇帝の方を見て
「我が部下のローグラと言います。私を咄嗟に庇って聖魔法を受けてしまったのです。」
良いか?と言うギルヴァにローグラは頷き、左腕に巻かれている包帯を取ると
左腕を覆っていた体毛は無くなり、爛れていて、光の聖魔法に受けた傷と分かる白いキラキラとした光を放っている。
「なんと!?」
「そんな!!」
大臣達が声を出して驚く中
「なんでそのままにしたんだ!!馬鹿!!」
そう叫んだのは、ジュヤだった
ジュヤは叫んだと同時に、置いてあった三体の人形を掴み投げると、三体の人形は、ローグラの頭上、左足、右足に立つと黒い光の結界を展開させローグラを包む
ローグラはうめき声を上げて、気を失うがほぼ立ったままでいる
「闇の治癒を使おうとしたんだが、コイツが証明になるからこのままでいいと聞かなくてな……ナウニル卿、助かった。」
「なんで、軍は脳筋の考えなんだよ!記録を取ればいいだろう。このままなんて侵食されたらどうするんだよ。」
嫌悪感を露わにしながらギルヴァを睨むジュヤに、ギルヴァは何も言えず……すまぬ。しか言えなかった。
その様子を見ていたアラバサ皇帝はため息を軽くつき
「ジュヤ、ローグラの治療を頼む。ここじゃない方がいいか?」
「皇帝陛下、僕はこのまま居ても大丈夫ですが、こんな重傷をこの場にとどめるのは心配なので僕の施設へ転移させてもいいでしょうか?」
「良い。すぐに送ってやれ」
「ありがとうございます。ガイベルド卿!後でお説教だ!」
そう言うジュヤに頷き両手を上げて降参のポーズをするギルヴァ
それを見たジュヤは、両手をパンと叩くと黒い亜空間が出てそこから出てきたジュヤの部下がローグラをジュヤの人形が作った結界ごと運んで行った。
ジュヤはため息つきながら椅子に戻り、ギルヴァも椅子に戻った。