第1章 記憶 ※暴力表現有
そうして、メイは数日おきに僕のところに訪れた。
今日は庭にねこという生き物が来た、今日は庭のお花が咲いたといろんな報告に来てくれた。
遊びたいと伝えると、格子越しにできるような遊びを考えてきてもくれた。
外でみんながやっている踊りを練習して見せたら、手をたたいて喜んでくれた。
メイの訪問は僕の唯一の楽しみになっていた。
声を出すことにも慣れてきたある日。
今度外にいるみんなとも遊んでみたい、そう伝えた数日後のことだった。
メイは初めて破れた着物で僕のところにやってきた。いつもきれいに整えられている髪も少し乱れて、一生懸命手櫛で直していた。
「ごめんなさい、今日はこんな格好で恥ずかしいけど、この時間しかここに来れないから。」
「なにかあった?」
「…ちょっと転んじゃって。大丈夫だから気にしないで。それより、みんなとも遊びたいってこの前言ってたから、誘ってみたんだけど…断られちゃった。ごめんなさい。わたしと二人でもいい?」
申し訳なさそうに言うメイ。
大丈夫、と言おうとして、破れた裾から傷が覗いているのに気が付いた。
「あし、血が出てる」
「え?…あぁ、ほんとだ。でもこれくらいならすぐ止まるから。今日は何して遊ぶ?」
ちょっと心配だったけど、メイがそう言うならきっと大丈夫なんだろう。
何にしようか。
うーんと考えていたら、
突然メイが吹き飛んだ。