第3章 新生活
「邪視、ソースが付いちゃってるからちょっとじっとしててね。」
おしぼりを取って、まず口の周りから拭いていく。
邪視は私の顔を見つめながら大人しく拭かれていた。
「はい、綺麗になった。手も拭いておきましょうね。」
結局全て拭き切るのにおしぼりを3枚も使ってしまったけど、これで後は綺麗に食べられるでしょう。
「もうよいか?」
「ええ。ポテトもナゲットも食べていいからね。足りなかったら追加で注文するし。」
待ち切れない様子の邪視に答えると、早速両手にそれぞれポテトとナゲットを掴んでモリモリ口に運び始めた。
さすが男の子といった調子の食べっぷり。
なんでも美味しそうに食べてくれるので私の方も気持ちが良い。
邪視を見ながらコーラをちびちびと飲んでいると、邪視の興味がこちらに移った。
「お主が飲んでおるのは何じゃ」
「これ?コーラよ。」
「うまいのか?」
「甘くてシュワシュワするわ。飲んでみる?」
差し出すと、躊躇いなくそれを吸い込んだ。
その瞬間邪視は炭酸の刺激に驚いたようで、目を見開いて慌ててストローから口を離した。
「なんじゃあこれは!!口の中が弾けておる!」
予想通りの反応に私は笑いを堪えきれなかった。
「ふふふ、びっくりした?面白いでしょう。炭酸の飲み物はシュワシュワパチパチするの。最初は痛いけど、慣れたらこれが爽快になるのよ。」
「お主は変わっておるのお…我はこれは好かん。」
あまり気に入らなかったようでそのまま返却された。すぐさまポテトとナゲットを口に運ぶ作業に戻る邪視。
ああ、面白かった。
再びストローを口に含もうとしてふと気付いた。
私のストロー邪視にそのまま使わせちゃった。
…邪視は気にしてないみたいだからいいか。私も気にしないようにしよう。
一瞬躊躇ったけどそのまま飲み進め、私もちびちびとポテトを摘んで口に運ぶ作業に入った。