第3章 新生活
「まだじゃ。腹が減った」
「じゃあまずご飯食べに行きましょうか。私のおすすめの喫茶店に連れて行ってあげる。」
そして2人並んで駅前の喫茶店へ。
ここはレトロで可愛い雰囲気のお店でそれだけで気分が上がるんだけど、サンドイッチやパンケーキも美味しい。
邪視の口に合いそうなものが見つかるはず。
店内に入ると顔なじみの店員さんが案内しに来てくれた。
「いらっしゃいませ。あ、こんにちは!いつもありがとうございます。…今日はお二人様なんですね、奥のお席へどうぞ。」
「こんにちは。ありがとうございます。邪視、あっちに座ろうね。」
邪視は店員さんをチラッと見やってから私に着いてきた。
「あれは知り合いか?」
「え?違うわ、私がここによく来るからお互いに顔覚えちゃっただけ。」
「ふぅん…」
私はテーブルの上にメニューを広げる。
邪視から先に選んでもらおうと軽食のページを開いて見せた。
「邪視、どんなの食べたい?温かくないやつだと、このサンドイッチとかケーキとか…プリンアラモードなんかもあるわよ。パンケーキも少し冷ませば食べられるかしら。」
しばらく興味深げにメニューを眺めていたが、色とりどりのフルーツが乗ったタルトの写真を指差した。
「これ食べてみたいじゃ」
「フルーツタルトね。飲み物はどうする?甘いのがいい?」
頷く邪視。甘いものばっかり食べさせてる気がするけど大丈夫かしら…
炭酸系はまだ邪視の舌にはキツい気がするし、フルーツタルトに合いそうなの…
「バナナのミックスジュースにしてみる?タルトと合わせてフルーツだらけになっちゃうけどおいしいわよ。」
「それにする!」
「わかった。私は朝ごはん食べちゃったから…ロイヤルミルクティーにしようかな」
呼び鈴を鳴らすと先ほどの店員さんがすぐにやってきてくれた。
「お決まりですか?」
「ええ。フルーツタルトとバナナジュースのセット、あとロイヤルミルクティーをお願いします。」
「かしこまりました。…あの、今日はデートですか?」
唐突な問いかけに私は少し戸惑った。
言われてみれば、確かに外から見ればデートに見えるわよね…
いつも1人かモモちゃんや友達と来るから物珍しく思われたかしら。