第3章 新生活
【メイ視点】
午前中の講義を終え、お昼ごはんを食べに友人たちと学食へ。
日替わりランチを注文して、テーブルに揃ってから食べ始める。
「ねーメイ、なんか良いことでもあった?」
「んっ…げほっ、ちょっと急にどうしたの?何もないけど…」
突然投げかけられた質問に動揺してしまった。
喉に詰まるかと思った。
「あたしも思ったー!なんか雰囲気がさぁ」
「お花舞ってるよねなんか」
「そ、そんなことないと思うけど…みんなの気のせいじゃない?」
思い当たる原因は1つしかない。
でもみんなには言えない。言えるわけがない。
第一どこから説明したらいいのか。
私はオーラや霊が見えることも誰にも言っていないし、ましてや前世で大切だった人と再会しました、彼は妖怪になって高校生に取り憑いていますなんて誰が信じるというのか。
「ついにメイにも彼氏できたんじゃない?」
「うわーそれだわ絶対」
「写真とかないの?見せてよ!」
思案する私をおいてけぼりにして勝手に盛り上がり始める友人たち。どうしてそうすぐ恋バナに繋げたがるのかしら。
「そんなんじゃないったら…何でもないのよ本当に…」
「あーあ、男どもが悲しむねぇ」
「メイを射止めたなんてどんなイケメンなのか話題になるよこれは」
誰一人として全然私の話を聞く気がない。
確かにイケメンはイケメンだけど…彼氏じゃないし。彼の本体はまだ甘えたい盛りで恋愛に興味を持つような年齢じゃない。
私の方も彼を甘やかしたいだけ甘やかして満足感があるだけなのに。
「本当に違うのよ」
「もー頑なだなぁ。はいはい、そういうことでいいよ。」
「また紹介してね〜!」
「惚気話とかも楽しみにしてるから!」
最後まで話を聞かない友人たち。それ以上弄ることはやめたようだけど、私は1つため息を漏らした。