第3章 新生活
【モモ視点】
ジジと並んで登校しながら、昨夜の邪視の様子について話す。
「昨日の邪視どうだった?迷惑かけてなかった?」
「ぜーんぜん。お姉ちゃんにずーーーっとくっついてたけど大人しくしてたよ。」
「マジか、メイさん大丈夫だったかなぁ」
「…お姉ちゃんむしろ嬉しそうにめっちゃお世話してたからそこは気にしなくていいよ。甘やかしすぎて見てる方が目のやり場に困ったわ。」
昨夜の様子を思い起こしてため息混じりに答える。
もう本当に全部してあげる勢いでやってあげてたもんな。
中身はともかく相手は高校生のデカい身体なのに。
「なんだよその遠い目…」
「いやもうなんか子育てやってるみたいだったなって…」
「そんなレベルで?それほんとに邪視?」
まあ、そりゃ信じらんないよね…
ジジは邪視が取り憑いてからというもの、自分の意識が戻るたびにウチらの家が壊れてて申し訳なさそうにしてたもんな。
「ウチらも最初信じらんなかったよ。お箸使えなくて食べさせてもらうのはまあ百歩譲ってわかるけどさぁ、まさか胸に抱かれて寝ると思わないじゃん」
「へっ?」
「あ、やば…ごめん」
しまった、あの光景が衝撃的すぎてうっかり口を滑らせた。
さすがにジジ嫌がるかな…
「え?え?マジで言ってる?朝の写真ってもしかしてそれ…?」
もういいや、正直に言ったれ。
「そうです」
「あの感じだとおばちゃんも見てたってことだよね?」
「はい、てか写真はおばあちゃんが撮りました」
「うっそ…オレ殺されない?おばちゃんに」
「いやジジがやったことじゃないし。むしろ邪視抱いて寝てるお姉ちゃんが幸せそうすぎておばあちゃんもちょっと嬉しそうだったなんか」
「それもどうかと思うけどさ…」
「むしろお姉ちゃんがごめん…ジジの身体なのに好き勝手して…」
「いやそれはいいよ。まあ、邪視も誰にも甘えられずに死んじゃったみたいだからさ、やっと甘えられる相手ができたって喜ばしいことなんじゃない?」
「…ジジっていい奴だよねほんと」
「え!今さら気付いた?プンプン!」
「ありがとね色々」
「まっかせといてー!元はといえばオレが邪視と共生するの選んだんだしさ。交代しても暴れずにいてくれるならオレの方も助かるよ。」
ウチは後でジジに学食を奢ることを決心した。