第2章 再会の日
「…じゃあ、我もお主がダイスキじゃ」
「ふふ、そう。ありがとうね。」
「ウチは?」
「…(無視)」
「おい」
覚えた言葉をすぐ使おうとするところも、私と仲良くなりたいと思ってくれるのも可愛くて、ついつい頭を撫でてしまう。
すると、邪視は一点を見つめたまま固まってしまった。
「あ、ごめんなさい。嫌だったかしら。」
慌てて手を離すと我に返ったようで、
「…違うじゃ。…甘かった。」
「甘い…?」
また「甘い」という感想が出た。
良い意味で使っているとは思うのだけど、ピンとこない。
「お主が教えてくれたんじゃ。飴を我の口に放り込んで、その味は甘いと言うんじゃと。お主に触れられると同じ気持ちになるから、お主も甘いんじゃ。」
モモちゃんが納得したように口を開いた。
「あ〜〜〜わかったわ。それって"甘い"じゃなくて"嬉しい"とか"幸せ"って言うんだよ。」
その言葉で私もようやく納得がいった。
幸福感を「甘い」だと覚えているのね。
「何?じゃあ甘いとは何じゃ」
「甘いっていうのはあくまで味のことだから、口の中で感じるものなの。確かに甘いもの食べたら幸せな気持ちになるから間違いではないけど…」
邪視は納得いったような、そうでないような顔で座っていた。
「あ!!お姉ちゃん!アイス溶けてる!!」
「あっ大変!」
モモちゃんの声で気がつくと、アイスが溶けて手に滴る瞬間だった。冷たい。
慌てて反対の手に持ち替えてこれ以上垂れないように上を向いて食べる。
「モモちゃんティッシュー!」
「うわぁ!こんなときに限って空っぽじゃん!ちょっとまってて!」
2人でワタワタと慌てている間にじっと私を見ていた邪視が、アイスのついた手を取って、舐めた。
固まる私。
「…やっぱり甘いのお」
唇を舐めながら満足そうに笑う邪視。私はまたアイスを溶かした。