第2章 再会の日
「できたじゃ」
「はーい。…ぇあ!!?…ご、ごめんなさい!!タオル巻き直してって言うの忘れてた!!巻いて!!難しかったら巻かなくてもいいから隠して!」
普通に振り返ってうっかり見えてしまった。
驚くほどの反射神経で目を瞑り、前を隠すように促す。
「何を焦りよるんじゃ。…これでいいか?」
恐る恐る目を開けると、ちゃんと巻き直されていてほっと胸を撫で下ろした。
「よし、じゃあ全部拭けたから上がりましょう。私はさっと片付けしてから出るから、そこのマットの上で身体拭いて待ってて。」
「これはやってくれんのか」
少し残念そうな表情を浮かべる邪視。
その顔には弱い。
「…わかったわ、こっちもしてあげる。」
そして先ほど拭いたようにもう一度顔や身体を拭き上げると、またタオルの中だけ自分で拭くように、拭き終えたら着替えるようにと伝えて私は片付けに戻った。
片付けを終えて戻ると、ジジくんのパジャマを着た邪視が待っていた。
「お待たせ。戻りましょう。」
「あ、お姉ちゃんおかえり。大丈夫だった?アイス買ってあるから食べな。」
「あら、ありがとう。邪視の分もある?」
「ある」
「邪視、よかったね、おやつがあるみたいよ。冷たくて甘いの。食べる?」
邪視は頷いてワクワクした顔で座った。
棒アイスだったので、包装を剥いて手渡してあげる。
一口頬張る邪視。冷たさに驚いたようだったが、すぐに慣れたみたいで、どんどん口に運んでいる。
「おいしい?」
「うますぎじゃあ」
「ふふ、気に入ったならよかった。」
邪視が食べるのを見守ってから私も食べ始める。私の好きなミルクのアイスだった。
「おいしい、これ中々売ってないから嬉しいわ。」
「たまたま見つけてさぁ、お姉ちゃんこれ好きだったよなーと思って!」
得意げに笑うモモちゃん。
「ありがとう、モモちゃんのそういうところ大好きよ。」
「えへへ。ウチもお姉ちゃん大好き。…どうした邪視」
モモちゃんの声に振り返ると、邪視がじっとこちらを見ていた。
「ダイスキとは何じゃ」
「大好きっていうのは…その人ともっと仲良くなりたいとか、もっと一緒にいたいとか、もしくはそうなれて嬉しいとか、そういう気持ちを伝えるときに使うの。物にも使えるのよ。たくさん食べたい物とか。」