第2章 再会の日
そして、私たちそっちのけで運ばれてきたおそうめんに群がる面々。
食べ盛りの子たちばかりなので、取り合うように箸を突っ込んでいる。
「オカルン麺つゆ取って!」
「はい、わさびは?」
「わさびはとりあえずいいや」
「高倉くん、私にわさびちょうだい♡」
「はい、白鳥さん」
「足りなかったらまだあるからな〜」
ずるい、私もお腹すいた。
邪視もきっとお腹が空いているだろう。
冷たいおそうめんにしてあげたのは星子おばあちゃんの計らいだと思う。温かいものだとジジくんに戻っちゃうみたいだからね。
「邪視、私たちも食べましょ?この体勢じゃ食べられないわ。」
「嫌じゃ」
「お腹減ってないの?」
「減った」
「ほら。後でまたくっついたらいいから。ね?」
そう言うとようやく数時間ぶりに膝の上から離れることができた。腰が痛い…
空いているところに並んで座り、邪視の分もつゆとお箸を用意してあげる。
「この白いのは何じゃ」
「これはね、おそうめんって言って、このつゆにつけて食べるとおいしいのよ」
すると邪視は素手をざるに突っ込んで取ろうとするので、慌てて制止して少しずつ私がよそってあげることにした。
よそってあげたは良いものの、今度はお箸が持てずに苦戦している様子。
仕方ないので私が食べさせる。
「はい、お口開けて」
邪視は目を真ん丸にした後、なぜか嬉しそうな顔をして口を開けた。
「はい、この辺で啜ってね。吸い込み過ぎたらむせちゃうから気をつけて。」
素直に言うことを聞く邪視。上手に啜って食べている。
…餌付けのようで楽しい。
「うまい」
「よかった」
思わず顔を綻ばせながら邪視を見る。
邪視は私の顔をじっと見返してきた。
「どうしたの?何かついてる?」
「やっぱりお主は笑っておるのが一番じゃ。お主の笑った顔は、甘くてうまい」
「何それ…」
おおよそ人の顔に抱く感想ではないけど、多分褒められているのだと思うことにした。