第2章 再会の日
しかし、私は気付いた。邪視の禍々しいオーラが落ち着いている。あれほど満ちていた殺意が消えた。
代わりにじわじわと混じり始めたオーラ。純粋で、なんだか少し寂しそうなそれ。
どくんと心臓が大きく跳ねた。
私は、あのオーラを知っている。
「なあ、何と言ったんじゃ。メイと言わんかったか」
「…だったら何だよ」
「…その名を聞くと胸のあたりがきゅうっとなるんじゃ。…我のせいで、我と一緒に死んだ女の名じゃ。ついていくと言っとったのに、何百年待っても一向に姿を現さん」
どこか憂いを帯びた目。
先ほどまで命をかけて殺し合いをしていた者ととても同一人物とは思えない発言に沈黙が流れる。
動悸が止まらない。過呼吸になりそうなほど苦しい。
彼に、触れたい。
「出てくるなっつったろ!」
星子おばあちゃんの声で我に返ると、私は本殿の戸を自ら開けて出てしまっていた。
私を見た邪視の目が大きく見開かれる。
ゆらゆらとこちらに歩み寄ってきたと思った刹那、地面を蹴り上げて目にも止まらぬ速さでこちらに飛びかかった。
「しまった」と思ったけど、もう遅い。
「お姉ちゃん!!」「メイ!!」
モモちゃんの超能力が伸びてくる。
私を本殿の中に突き飛ばそうとする星子おばあちゃん。
全てがスローモーションのように感じられたその瞬間、私は背骨がへし折られそうなほど強く強く抱きしめられていた。