第2章 再会の日
数時間後、ガヤガヤとみんなの声が聞こえ始めたのでそっと戸を開ける。
「みんな、おかえりなさい。」
「「ただいま〜…」」
「おうメイ、引っ越し済んだか?」
「とりあえず必要なものは全部移せたと思います。」
帰宅したメンバーを確認する。みんな疲労困憊といった様子で傷だらけだ。後でヒーリングしてあげなきゃ。
あれ?…ジジくんがいない。
それに、人体模型の太郎くんが何か禍々しいオーラを放っている。
「ジジくんは?」
「見えてんだろ、こいつの中に封印してる。」
「…何に取り憑かれたらこんなことになるんですか…」
「邪視っつってな…人を自殺に追い込む妖怪だ。ジジは器にされちまった。なまじこいつのフィジカルと霊力が天才だから捕獲するのがやっとだった。今からお祓いやるから万次郎たちと準備しろ。」
星子おばあちゃんでも抑えるのがやっとの妖怪。
封印されていても尚放たれているこの禍々しいオーラを見るに、本当なのだろう。
背筋が凍るような思いがした。
そして始められた祈祷。
星子おばあちゃんやモモちゃん、万次郎さんという星子おばあちゃんの弟子の方と私で囲んで祝詞を唱える。
一通り唱え終わって、星子おばあちゃんがそっと太郎くんの顔を外す。
「無駄じゃあ」
…残念ながらお祓いは失敗に終わった。
ひとまず太郎くんの顔を戻して再封印。
可哀想だけど、しばらくジジくんはこのまま過ごすことになりそうだった。
私も本殿での生活は継続になる。
その日の晩、転機があった。
太郎くんが熱いおでんを食べたことで、太郎くんの中にいた邪視がジジくんに戻った。
どうやら冷たいものがかかると邪視に、熱いものがかかるとジジくんに戻るらしかった。
厄介な体質になってしまったものね…