第1章 ver.寿嶺二 7/13
『寿さん、トレードマークの帽子は、今日は被っていないんですね』
『あ、バレちゃった?実は....お世話になった人の所に置いて来ちゃったんだよねぇ~』
『あらら、そうだったんですね』
『実は、ちょっとへこたれちゃう時もあるんですけど、その人の言葉を聞いて、また頑張ろうって思えたんだ。だからその帽子はプレゼントのつもり!でも、すっごくお気に入りの帽子だったから、また会えたら、その時は僕ちんの歌と交換してもらうかなぁ笑』
『ふふっ。歌がプレゼントだなんて、流石、今をときめくQUARTET★NIGHTのメンバーですね!』
『僕らが音楽をやれているのも、歌を届けたいって思うのも、応援してくれてる、ファンの子達が居てくれるからこそ。マイガールも、マイボーイも本当に、ありがとう!』
『今日は大人気QUARTET★NIGHTのメンバー、寿嶺二さんにお越し頂きました!次の曲は...』
何度も聞いたこのラジオ。
今まで耳にしたことない情報が入ってきて、思わず帽子を見つめる。
神様が見せた夢か、シャイニーの魔法なのか、はたまた都合のよい妄想か。
どれだっていいけれど、また来年も、絶対にお祝いしよう。
彼のちょっと癖のある声と、流れてくる曲にそっと耳を傾けて、目を閉じた。
HAPPYBIRTHDAY、嶺二。
この1年が、私にとっても、彼にとっても、素敵な1年になりますように。