第1章 ver.寿嶺二 7/13
「「こ・と・ぶ・き・れ・い・じ!」」
そう、同時に言って、笑いあった。
するとまた部屋が光り出す。
余りの眩しさに目が開けていられない。
あぁ、もうお別れの時間なのか。
今日1日って言っていたのに、時間軸的なものが違うのだろう。
そうだ、これだけは伝えなければ。
お、お誕生日おめでとう!
そう叫んだ私に、彼は私が被った帽子ごと、頭をポンポンとしてくれて。
ありがとう、マイガール
そう言って、消えてしまった。
目を開けたら、自分の部屋。祭壇はそのまま、ペンライトは光ったままで、どうやら床で寝ていたらしい。やはり、夢だったのでは無いかと頬をつねれば、痛い。
うん、そりゃそうか、痛いよな。今は。
はぁ、とため息を付いて、ふと祭壇の横に落ちている何かに気がついた。
それは、明らかに私のでは無い、白い帽子。
推しの概念!と言って、帽子はいくつか持っているが、こんな、原作のまんまの帽子なんて、持っては無かったはずだ。
驚いて周りを確認するが、誰かが入った形跡も無い。
夢だったんだろう。そう思っていたら、さっきまで流れていた曲の次に、録音していたラジオが流れてきた。
どうやら、寿嶺二の名前のオールシャッフルに紛れ込んでいたらしい。何度も聞いたものではあるので、止めようと思ってボタンに手を置けば、そういえば寿さん...と、聞いた事がないフレーズに、思わず手が止まる。