第7章 地雷
柳瀬へと抱きついて。
顔を埋める。
「だって莉央ちゃん…………」
「!!」
柳瀬。
柳瀬だ。
一瞬だけ見えた柳瀬の姿(光)に顔をあげて、柳瀬を見た。
「莉央ちゃんずっと、騙してた…………」
「騙してたって?」
「わかってんだよ!!今更…………っ」
急に荒げた柳瀬の声にビク、て、身体が強張る、けど。
頭を押さえて顔を歪める柳瀬を、視線で追った。
「…………騙してない。騙してないよ」
わからない。
柳瀬の言ってる意味、わかんない。
何かと間違えてる?
何を吹き込まれたの?
誰に?
だけど今、そんなことどうだっていい。
柳瀬が、あたしを見てくれた。
たぶんすっごくすっごく頑張って今、あたしと話ししてくれてるって思うから。
「柳瀬、溜めないでいいよ、思ってること全部言って、押さえ込まないでお願い」
「みんな、みんなはじめから仕組まれてて、莉央ちゃんも、俺、騙してた」
「騙してない、ほんとだよ信じて」
「騙してない…………?」
「騙してない、あたしは柳瀬が好き。誰も柳瀬を騙してない」
柳瀬の顔を両手で触って。
柳瀬の涙を拭う。
「俺、ずっと吐きたくて、吐けなくて。ほんとはもう、莉央ちゃんにも言わなきゃって、でも嫌われるの嫌で言えなくて。けじめつけたくて暁さん、違うみんな、もうみんな敵みたいで、折った。俺暁さんの右手砕いた、俺…………」
支離滅裂だけど。
大丈夫。
ちゃんと伝えようとしてくれてるのわかる。
「はじめから全部、仕組まれてて…………」
仕組まれた?
違う。
たぶん意味なんてないのかもしれない。
だってきっと柳瀬自身も理解してない。
「柳瀬」
「うるさいっ、うるさいうるさいうるさい…………っ」
だめ。
だめだめ。
せっかく戻ってこれそうなのに邪魔しないで。
柳瀬を返して。
気付いたら。
自分から柳瀬を引き寄せてキスしてた。