第7章 地雷
土に埋まった爆弾の位置がわからないから、地雷ってのはほんとに厄介だ。
踏み込むまで気付かないそれを離すと爆発するなんて。
そんなのあんまりすぎる。
やっと位置がわかったのに警戒する間も与えられずに死んじゃうなんて。
きっと今、あたしがこのスイッチを離したら柳瀬は爆発しちゃう。
きっと壊れちゃう。
やっと見つけた柳瀬の地雷。
そんなの。
離すはずないじゃん。
爆発なんて絶対させない。
「柳瀬」
柳瀬がいつもするように。
唾液を柳瀬の口へ送って、舌を舐めた。
お願い。
お願いあたしを見て。
柳瀬。
「莉央ちゃん…………」
あ。
唇を離して。
柳瀬の顔を、見下ろせば。
獰猛な、獣の顔。
スイッチが、切り替わった音がする。
舌打ち、して。
暁が身体を引き摺りながらリビングを出ていくのが視界の中ぼんやり見えて。
もう一度、柳瀬の唇へとキスをした。
「…………っや、だ、だめだめ…っ、もっ、もぉ、おわ、おわり………っ、っ、ぁああッ!!とめっとまってぇ!!」
「莉央ちゃん自分で誘ったんだから責任とって…………っ」
「ごめ…………っ、んんゔぅ!!ごめんなさいっ、ごめっ、もぉいやぁあ!!」
柳瀬がまた闇に引き込まれて欲しくなくて。
意識を向けたのは、あたし。
こうなるってわかってて柳瀬のベクトルを自分へと向けた。
闇に堕ちるよりずっといいって思えたから。
こんな身体いくらでも差し出す。
ボロボロになったって、動けなくなったって構わない。
柳瀬のぐちゃぐちゃのその強い感情が、あたしに向いたならそれでいい。
柳瀬があたしを見てくれるなら。
それでいい。
「莉央ちゃん、莉央ちゃん…………っ、舌引っ込めないで。頑張って」
「ん、んんぅ…………っ」
「きもちーね、ずっとトントンしててあげる。莉央ちゃんが泣いても気絶してもずっとやめないから」
「ぃや…………っ、トントンずっとむりぃっ」
「涙なのか涎なのかわかん、ないね…………?ぐちゃぐちゃ。は…っ、莉央ちゃんかわいい…………っ」
「やなせっ、むり…………っ、ごわれる、し、しぬ…………っ」