第7章 地雷
柳瀬からの着信になんとなく照れ臭くて。
すずへと背中を向ける。
「莉央ちゃんごめんっ!!抜けらんなくて。お迎え行けそうにない!!どーしようタクシー、も長距離2人きりとか怖すぎるし。でもでも絶対バスは乗っちゃだめだよ!?」
…………怖いのはキミだよ。
全然長距離じゃないし。
「平気。タクシー拾うから」
「タクシーも気をつけてね莉央ちゃん、最近事件とか…………」
プツ、て。
電話が切れた。
「いいの?切って…………」
「そう簡単に事件に巻き込まれてたまるか」
「?」
「こっちの話」
「彼氏さん遅いの?ねー、したら先輩遊び行かん?課題のお礼。ねー、奢るからさぁ」
「え、行く」
「うわ乗り気かよ、返事早」
「違う違う。すず今4年で忙しいじゃん?誘えなかったからさぁ」
「え、誘えし」
「いやなんか悪いかなぁって」
「こっちのセリフですよそれ。最近彼氏さんべったりだしさぁ」
「あー…………うん、ごめんね」
「やったやったー。先輩と飲むの久々すぎてテンション上がる」
「あー、一回着替えたいかも。」
「んじゃ先輩の家いきましょー」
「大丈夫?」
「大丈夫ですって。ウチのにも連絡いれときますし」
ウチの。
って。
夫婦感すごいな。
「んー、じゃお願いしよっかな」
「はいはいはーい」
それから。
自宅戻って着替えて。
柳瀬のくれたピアスを外して、去年すずとお揃いで買ったピアスに付け替えた。
「あ、やった同じだー」
今日すずの耳にそのピアスを見つけて。
遊び行くならこれにしようって、自宅に寄ったのもあったりして。
それから。
繁華街ですずと少し飲んで、久しぶりの女子トークを満喫した。
しばらくしてからスマホを忘れたことに気付いたけど。
まぁすずと一緒だし。
お付きだか護衛だか、まぁつまり運転手さんがつかず離れずな距離にいたし。
柳瀬からの着信だけがまぁ心配ではあったけど。
柳瀬も仕事中だし。
遅くなんないで帰るつもりでいたし。
軽い気持ちで、なんも考えてなかったんだ。
柳瀬のことも。
柳瀬の、状態(闇)も。