第7章 地雷
「…………っと、ぶね」
ふらふらしながらなんとか動いた足取り。
は。
膝が折れてその場へとバランスを崩す。
「暁、さ…………」
のを。
支えてくれた人物に不信感しかない。
「顔色わりーね、どーした…………」
だってタイミング良すぎる。
あんな話した後に、こんなタイミング良く現れるか、フツー。
不信感露わに睨み飛ばせば。
驚いたように笑って。
暁さんが肩へと触れた。
「具合わりーなら休むか」
その手を思い切り払いのければ。
首の後ろを掴まれて、壁へと押しやられ、右手が捻りあげられた。
「態度に気をつけろよ雅。また折ってやろーか」
「…………勝手にすればいい」
「あっそ」
「…………っ」
くっそバカ力。
ギリギリ締めるだけ締めやがって腹立つ。
初めから折る気なんてねーくせに。
力の差ってやつ、見せつけてるつもりなんだろうけど。
くっそムカつく。
空いた左手で壁を押し寄せ、隙間に身体を這わせ身体を回転させて。
力が抜けたタイミングで右手の拘束を解き、抜け出した。
ついでに左手で首の頚動脈を圧迫しながら、壁へと叩きつける。
「あんたくらい、よゆーで殺せる」
「やっぱ茶番だったか」
「…………」
「おまえなんで俺にいいようにされてんの、好きか、あーゆーの」
吐きそう。
話してると反吐が出る。
首を離して。
右手を壁へと押し付け膝で力任せに蹴り上げれば。
肘から下が、だらんと下がる。
「お返しです」
「…………こっちが素か」
「…………」
組を追われることになる可能性。
莉央ちゃんといられなくなる可能性。
天秤に掛けた時に。
迷うことなく莉央ちゃんのそばにいることを選んだ。
「いいのか、莉央といらんなくなるぞ」
「あんた俺にやられたってゆーの?」
「…………」
初めからこうしてれば良かった。
プライドの高いこいつは、俺にやられたなんて言わない。
追い出せるわけないんだよな。
考えてみれば。
「『お世話になりました』」
右手押さえてしゃがみ込んだあいつを残して。
バカでかい爆音のする箱から脱げ出した。