第5章 堕ちる
…………。
は?
「何言ってんの。おまえのものになんてなった覚えない」
悔しいなぁ。
両手自由なら思いっきり引っ叩いてやんのに。
「…………んぐっ!?」
強引に顔を固定されて。
口の中で暴れ回る柳瀬の舌。
「ふ…………っ?ん、んんぅっ」
手動かないし顔捕まえられたら本気で抵抗出来ないやつじゃんこれ。
「…………やなら本気で抵抗すれば?噛むくらいできんだろ」
「んむ…………っ」
また…………っ。
こいつ。
息継ぎくらいさせろ馬鹿っ!!
「ねぇ。今だって嫌がるそぶり見せるくせに本気で抵抗してこないし。動けなくたって歯立てればいいじゃん。昨日はあんた酒の力まで借りて俺誘惑したくせに。それにあんた言ったじゃん。俺のものになるって」
「そっ!!れ、は…………っ違くて…………」
「何が違うの。もうさ、認めなよ。あんたとっくに俺んとこまで堕ちてんだよ」
「…………」
わかってるよ。
そんなこと。
柳瀬が堕ちる前から、そんなのとっくに堕ちてた。
でも違うじゃん。
こんなの。
こんな風に。
無理やり言わされるて言うなんて絶対に嫌。
「…………」
「ねぇ柳瀬…………っ、嘘でしょ何してんの?」
シャツが捲られて。
下着のホックが簡単に外された。
ついでに。
カチャカチャカチャって、音。
が、して。
柳瀬がベルトを緩めたのが聴覚と視覚を刺激、する。
「ねぇってば!!こんな朝っぱらから何盛ってんの!!柳瀬っ。みんなだっているんだよ!?」
「ごちゃごちゃごちゃごちゃうるせぇっ!!こっちは5時間前から煽られてんだ、朝だろうが夜だろうが関係ねぇんだよっ!!」
「…………っ」
喰われる。
って、思った。
本能が。
赤く点滅した。