第1章 愛して欲しい
「…………何」
さっきからパタパタパタと尻尾揺らしてこっちをにこにこ顔で見つめる柳瀬の視線に。
パスタを食べるために開けた口を、閉じる。
「んーん」
「見られてると食べにくい」
「あ、そうだよねごめん。普通にお腹すいてるよね」
ぱ、て。
にこにこ頬杖取っ払って。
柳瀬はやっと目の前のご飯に目を向けた。
それらがちゃんと柳瀬の口の中に放り込まれる様を眺めてから、あたしも自分の食事を再開。
…………柳瀬が。
ご飯を食べてるのを見るのは、安心する。
寝ない食べない、じゃ。
身体なんてすぐにぶっ壊れるに決まってる。
まぁもっとも。
そんなの当に壊れてるのかもしれないけど。
「はぁーっ、食った食ったー」
「…………」
「やだなぁ。ちゃんと食べたでしょ俺。食べてますよ、ちゃんと」
「別に」
「…………」
そっけなく返事して。
躊躇なく車の後部席へと乗り込もうと、すれば。
後ろから強引に力強い手があたしを押し込んで。
…………や、ば。
しまった、って。
理解するより早く。
柳瀬の唇はあたしのそれを、強引に塞いだ。