第4章 自覚
「…………ごめん」
「…………」
柳瀬が。
誤った?
え。
何。
本気で傷ついた顔してんの。
「ただほんとに、莉央ちゃんに好きになって欲しくて」
「だから…………」
「莉央ちゃんに愛されたくて」
「…………」
「ごめん軽率だった。別にどっちに転んでもいいかって。殺されちゃうなら別にそれでも。莉央ちゃん最後に抱けたし」
「?」
待って何言ってんの。
「ごめん。莉央ちゃんの気持ち考えてなかった。ほんとごめん」
「…………」
意味わかんない。
え。
待って怖。
怖い。
何言ってんの。
「暁、茶番…………、て。…………なに、が?」
「ごめんなさい。もうしないから、嫌いなんて言わないで」
「…………」
何を。
もうしない、の?
「わざと怒らせた、わけじゃない、よね?」
「…………」
「あたしに心配かけたかった?」
「ごめん」
「死んじゃっても、良かったって言った?」
「…………」
ああ。
だめだ。
涙腺決壊する。
「2度とすんな!!」
決壊した涙腺気づかれたくなくて。
顔を隠したままベッドから降りて、襖へと近付いた。
「莉央ちゃん!」
「…………」
早く出ないとここ。
今柳瀬。
早く歩けないし。
今出て走って部屋まで行けば柳瀬は追いつけない。
わかってんのに。
足が動かない。
「莉央ちゃん」
ぎゅて。
後ろから。
柳瀬の左手が巻き付いた。
「ごめんなさい。好き、好きです莉央ちゃん。嫌いなんて言わないで、お願い」
「…………」
おかしい。
絶対こいつ情緒バグりすぎてる。
なんなのこれもう自傷じゃん。
怖。
重。
でも。
「…………やっと言った」
「り、お…………?」
嫌でも自覚しちゃうじゃん。
なんにもうつさない綺麗な柳瀬の両目にうつるのが、あたしだけならいい。
振り向いて。
両手で柳瀬の顔を包むと、両目にあたしが入り込む。