第4章 自覚
「言ってない!!言ってないし!」
「そっかごめん今日も寂しかったんだ」
「違う、から…………っ、お願い首とか耳とか、キスするのやめて。間違ってまた、柳瀬痛い思いさせるのや」
「いいよ嫌なら突き飛ばしても」
「ん…………っ、いやじゃ、ない…………っ、ぁ」
「…………」
あ。
あたし。
今。
なん。
なん…………。
「ストップなし!!今のなし!!違う!違う違う違う違うの!」
「なしはなし。ちゃんと聞こえた」
「ち、がう!!ほんとに!おまえけっこう重症なんでしょ!」
「そーでもないよ。暁さんちゃんと急所外してるもん」
「は?」
「あの人激怒なのにそーゆーとこあるよね、骨はいってっけど、だから内臓はなんともないよ」
「いや、ぇ、あれ…………?」
頭ぐるぐるしてきた。
何。
こんな殴られて。
さっきまでぐったりしてたくせに。
絶対痛いじゃんだってこんなの。
え。
あたしがおかしいの?
なんでこの人ヘラヘラしてんの。
「ねぇなんなの?全然わかんない。殴られて頭おかしくなった?おまえ見るからにボロボロじゃん。なんなの。あたしに何言わせたいの?」
「…………」
むかつく。
むかつくむかつくむかつく。
本気で心配したのに。
だってあたしにもわかった、暁がすごく怒ってるの。
どーすんのよこれから。
ウチのトップだよ、暁。
たぶん次期組長にだってなるヤツだよ?
血筋からいったって、立場からいったって間違いない。
なんなの。
ちょっとは真剣に考えろよ。
「…………むかつく。おまえのそーゆーとこ、嫌い」