第4章 自覚
「やっと言った、柳瀬」
「…………うん?」
不思議顔であたしを見下ろす柳瀬に微笑んで。
「…………指、ちょーだい」
柳瀬の左手薬指へと。
思い切り噛み付いた。
「な…………っ、ぇ、い…………っ、た?」
食い千切るつもりで立てた歯形がくっきりと残された薬指を見て。
柳瀬の顔が興奮気味に、赤く染まる。
「騙した罰。言ってあげない」
代わりに薬指へと痕を刻むから。
柳瀬なら。
わかるでしょ。
「ぇ、莉央ちゃん待って」
「重症さんは大人しく寝てなさい。『それ』も、怪我してんだからお預け。あたしを騙した罰。絶対許さないから」
柳瀬をひとり残し。
襖をパタン、て閉めた。