第4章 自覚
「…………ぃ、や、ってゆーか」
「うん?」
耳、舐めないでよバカ。
余計首から上に血液集中しちゃうじゃん!!
「なに?」
あてられる。
引き込まれる。
雰囲気に。
「…………ねぇ莉央ちゃん。俺のこと好き?」
「—————っ」
なん…………っ。
「嫌い?」
「じゃ、ない」
「じゃあ好き?」
「…………っ」
そんなの。
こんな。
言わされてるみたいにして、言えるか!!
「あ、たしは!!柳瀬と違うの!」
「何が?」
だから。
その、いろんなとこにキスすんのやめなさいよ。
「柳瀬にとっては取るに足りない一夜でも、あたしは、あたしにはそんな軽い気持ちとかで、ほんとそーゆーの、ないから」
「は?」
低。
声。
やば。
怒らせた、これ。
左手で右頬を押さえて、上を向かされると。
あたしを見下ろす柳瀬と正面から目があった。
「目逸らしてんじゃねーよ」
「…………」
キレてる。
柳瀬の地雷がいまいちわかんないんだってば。
「軽い気持ちって?」
「…………」
なんだ。
そっち。
「だからあたしは…………」
好き人としか、出来ない、って。
言おうとして。
言葉に詰まる。
「だ、いたい柳瀬なんてあたしが欲しいとかしか言わないし、エッチ…っ、した途端全然付き纏ってこないし、昨日も今日も…………っ、あんなウザかったくせして、全然、だし。やっぱりあたしじゃ満足できなかったかな、とか。柳瀬あたしなんかよりたくさん経験あるし、結局最後までぜんぜん、挿入んないし。だし、だから…………」
あー。
言ってて虚しくなってくる。
何言ってんだあたし。
「…………それってやっぱ好きだって言ってるよね?」