第1章 愛して欲しい
「いーい?絶対寝るのよ?ちゃんと食べて、ちゃんと寝る。そのうち柳瀬の身体が壊れるからね!!」
「え、莉央ちゃんが俺の心配?嘘まじで。どーしよ俺死ぬんかな。やばいどーしよ嬉しすぎる」
「…………」
うっざ。
言うこと言ったしさっさとスルーすれば。
「莉央ちゃーん!!帰りもお迎えくるからねー!!」
幼稚園児よろしく、もげそうなくらいにぶんぶん手を振る柳瀬の姿。
が。
後ろなんて見なくても想像に足りる。
全無視して。
スマホを取り出す。
『いらない』
『休め』
手早く打ち込んだ文字は瞬殺で既読が付き。
仕舞い込んだバックの中ではずっとスマホが震えていた。
思えば。
あたしの知ってる柳瀬は今と真逆の人物だった。
柳瀬とは、8年前。
中学3年生の時に同級生だった。
いつもつまんなそうな顔して。
全てにおいてどーでもいいみたいな、無気力さがあって。
クラスと言わず生徒全員、一歩引いていつも蚊帳の外から傍観してる、そんな奴。
ただそこに自分が存在してる(いる)ことを、誰にも知られたくないようにも見えて。
いつも窓の外をひとり眺めてる。
極力誰とも関わらないように。
関わりたくないとでもいうように。
いつも。
死んだような目を、してた。