第10章 監禁
「柳瀬っ!!ねぇってば!!」
近くに停めてあった車へと乱暴に放り込まれて。
助手席のドアが閉められる。
雨で車のシートが濡れるのもお構いなしに車は走り出した。
「柳瀬びしょびしょじゃん。風邪引く…………」
持っていたミニタオルで頭から滴る水滴を拭こうと、して。
一瞬こちらを見た柳瀬と、目が合った。
ゾク
て。
した。
思わず距離を取って離れたくなる、くらいには。
感じた、恐怖。
「…………違う、よ?さっきの、は、雨宿り、はじめて入った、カフェの」
変な緊張が頭の回転率を著しく低下させ。
声が震える。
「…………莉央ちゃん」
「…………ぁ、っ、はい」
「ねぇ、俺に何か言うことある?」
「ぇ」
柳瀬に。
言う、こと…………。
問われた内容の意図が読めなくて、柳瀬を見れば。
「あるよね?俺に、言うこと」
信号で止まった柳瀬の視線が、真っ直ぐにあたしを射抜く。
「…………ぇ、と、さっき人なら、ほんとに偶然、カフェにいて。少し話してた、だけで」
「わかったもういい」
「ぇ」
小さく舌打ち、した後に。
青になった信号。
柳瀬はものすごい音を響かせて、車をUターン、させた。
「———今から少し抜ける。ああそう、それでいいよ、夜には戻るから」
低い声で電話を切ると、タバコへと柳瀬の手が伸びて。
タバコを吸う柳瀬の手元が苛立ちを含んでいるのがわかる。
「柳瀬…………?ねぇ、どこ行くの?なんで高速?」
「…………」
なんで怒ってるのかわかんない。
わかんないから、下手なことが言えなくて。
沈黙がまた恐怖を増幅させる。
「莉央ちゃん」
「…………っ、はい」
「さっきの男誰?知ってるやつ?」
「同じ、大学の子…………っ」
「…………ふーん」