第10章 監禁
前々から、あったと言えばあった。
ウザいくらいの、独占欲。
柳瀬の闇堕ちトリガーが他の男の存在、つまり嫉妬、独占欲の類なのは良くわかってる。
わかってるからこそ極力柳瀬以外の男性との距離間はあたしなりに保ってきたつもりではいた。
最近は柳瀬がいい顔しないから、ゼミコンだって断ってきたし。
大学までの送迎の時だって柳瀬の圧がすごくて、公に彼氏認定されてる。
「橘花さん、彼氏さん来てるよー」
なんて。
知らない人までもがわざわざ教えてくれちゃうくらいには、公認。
なのに。
「好きです、橘花莉央さん」
ザワつくカフェテラスの一角。
すずと一緒にお茶していた中途半端な休憩時間。
思わず吹きそうになったカフェラテを大量の空気と共にごくんと飲み込んで。
失礼にも。
ひとの告白に対して盛大にむせ込んだ。
「…………え」
あまりのむせっぷりに吃驚したのはもちろん彼の方で。
一瞬にして変わった顔色に、慌てて否定しようと口を開くけど。
「先輩彼氏さんいるの、知らない?」
先に口を開いたのはすずだった。
「怖いよー?めーっちゃ独占欲の塊みたいなやつだから、バレたら殺されちゃうよ?大丈夫?」
「ちょっとすず」
「だってほんとのことじゃん」
…………あながち否定できない自分がもどかしい。
「…………あの…っ」
「ごめんなさい、すずの言った通りお付き合いしてる人、いるので」
席を立って。
彼へと深々と頭を下げた。
特別やましいことなんてなかったし。
わざわざ報告することでもないから。
「莉央ちゃん、今日なんかあった?俺に言うこと、ある?」
意味ありげに聞かれた時だって。
「ないよ」
ただそう、答えた。