第9章 誕生日
「おぇ…………っ、げぇっ、ガハっ、ゴォホッゴボっ!!」
「ごめん、ごめん莉央ちゃん、息できる?ごめんね、ごめん」
「ごめ…………っ、のめ、な、…った…………っ。ウェっ、ゴホゴホゴホっっ!!」
だめだへんなとこ入ったこれ。
くるし…………。
ああほんと最悪。
全然ちゃんと出来なくて何が上書きなんだか。
「…めんっ、ごめんみやび、つぎ、は、ちゃんと、のむ…………っ」
「大丈夫。大丈夫だよ莉央ちゃん、気持ちよかったです。ありがとう莉央ちゃん」
「ん…………」
ああだめだこれ。
トぶ。
引っ張られる。
窒息しかけたせいで頭ぼーっとする。
まだ。
まだ気、失いたくないのに。
「ごめん…………。やなせ」
ああだめ。
落ちる。
—————————…………。
『え、誕生日知らないの?自分の?』
『…………興味ない』
『ぇえ、興味あるとかないとかの問題、なのかなぁ』
『もういい?』
『え、待って待ってまだ…………。でもうん、ごめん、引き留めて。今日、助けてくれてありがとう』
『…………』
『…………帰らないの?』
『別に、帰りたい家とかねーし』
『…………』
『…………今日』
『え』
『あんたと一緒。たぶん』
『…………?』
『誕生日、ってやつ』
「…………」
頭、ふわふわする。
ああ。
これ好き。
安心する。
柳瀬の手、だ。
頭、撫でてくれてる。
ぼーっとするままに目をゆっくりと開ければ。
ベッドの上、左手をあたしに差し出したまま寄りかかり、テレビを見てる柳瀬の姿。
「…………どのくらい寝てた?」
「ん?30分くらい」