第9章 誕生日
「…………死んだ」
「白目剥いてたもんね莉央ちゃん」
「…………柳瀬は楽しそうで何よりですね」
「うん」
冷蔵庫からペットボトルを取り出しゴクゴク喉を鳴らす柳瀬を視線だけで追う。
…………喉渇いた。
「莉央ちゃん」
ぎし、て。
ベッドを軋ませて。
柳瀬の片足がベッドへと乗り上げて。
柳瀬の右腕が、あたしを抱き起こす。
「ん」
そのまま唇が塞がれて。
あ。
冷たい。
冷たいお水が。
口の中に入ってきて、喉がなる。
「あんだけ声出してたら喉いたいでしょ」
くい、て。
もう一回口へと含むと。
それをまたあたしへと飲ませてくれた。
「…………こーゆーとこ好き、雅」
口の中に柳瀬が水を含んだのを視界におさめてから。
自分から柳瀬の頬へと手を伸ばし、水を飲む。
「…………莉央ちゃん最近エロくない」
「柳瀬がそうしたんでしょ、水おかわり」
べ、て。
口を開ければ。
水を乱暴に含んだ柳瀬が、あたしへと水を飲ませてくれた。
溢れた口の端の水滴まで舐め取って、今度は柳瀬の舌ごと舐めて、吸い上げた。
「…………犯すよ」
「いいよ」
もっともっと激しくして。
遠慮なんてしないで。
もっとぶつけていい。
気遣いなんていらない。
理性全部壊して犯してくれていいのに。
ズボンの上から、柳瀬の勃ち上がったそれを口へと含む。
「だから莉央ちゃん」
「だからいいって。口、好きにしていいよ」
んべ、て。
口を開けて柳瀬を上目遣いに見上げた。
「…………」
ああこの目。
ゾクゾクする。
あたしに。
あたしだけに発情しまくってる顔。
今柳瀬の頭の中、あたししかいない。
あたしのことしか、考えらんないでしょ。
「口の中、射精(だ)していいよ」
願わくば。
あの頃の嫌な記憶全然、あたしで上書きされますように。