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メンヘラヤンデレ彼氏からの溺愛調教

第8章 幸せ




《side 雅》


例えば、親であるはずのたった1人の大人から死を願われた時。
例えば親から捨てられた時、捨てた時。
例えば初めてしらない誰かを抱いた時、抱かれた時。
世の中全て空虚な闇だと、自分がすごくちっぽけで笑えた時。
どこか遠くから自分を見ているような。
まるで他人事みたいに全てがどうでも良かった。
反社の人間の関係者、それを抱いた時。
それが所謂ハニトラだったとしても、見抜けなかった自分の落ち度だと、数人がかりで殴られた時もどこか他人事で。
すぐそこにある死を否定することすらしなかった。


『お願い死なないで。ごめんね、ごめんなさい』



初めて自分のために泣いてくれた人間。
初めて見た光。
手を伸ばしたら届くのかな。
初めて『生』きてることを実感出来た。
あれから5年。




「…………っ、生きてて良かった」




『生』を今、全力で噛み締めてるこの瞬間。
初めて生きることが、生きていることが幸せだと思えた。





「莉央ちゃん…………っ莉央ちゃん」


今すぐ引き離して止めるべきだと思う反面、最愛の人を汚してしまうかもしれない背徳感。
もうほんと。
ああまじで。
生んでくれてありがとう、って、くそみたいな親に感謝した。




「柳瀬」


ぷはっ、て。
口を離して。
莉央ちゃんが上目遣いで俺を見た。


「どこが気持ちいいの、早くイってくんないと顎外れる」
「だから莉央ちゃん、こんなことしなくていんだって」


口からこぼれ落ちた唾液を拭って、莉央ちゃんを抱き起こそうとするけど。
「?」
あれ。
抱き起こせない?
「やだ。絶対やめない」



んん。
何そのふくれ顔。
何と勝負してんの莉央ちゃん。
かわいすぎて死んじゃうじゃん。







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