第8章 幸せ
耳から口が離れて安堵したのも束の間。
一瞬にして、血の気が引いたのがわかる。
「っ」
横目でチラリと、柳瀬を見れば。
楽しそうに目を細めて、笑う柳瀬と目が、あった。
「…………っ!!」
途端に。
「ひ、ぐぅゔ…………っ、う、ぁ、ぁああ…………ッッ、やだ、それ、ずる…………っ、もおほんとにやだぁぁっ!!」
柳瀬の指先が、狙いを定めた獲物を追いかけるみたいに。
激しく動き回る。
「イくまでね」
「…………った!!イったからもおゆび、みみ…………っはなしてぇ」
「まだイってないでしょ。そんな嘘つくならイってもやめてあげないよ」
「やだ…………っ」
そんなこと。
言われたって。
感覚がまだ、わかんないのに。
むりだよぉ。
「泣かなくても大丈夫だよ莉央ちゃん、ほら、こうすればすぐイくでしょ」
「!?」
柳瀬が。
指先が。
突起を、突起だけに狙いを定めて指を動かせば。
すぐに背中がゾクゾクと震え出す。
「やだ、それへん…………っ」
「大丈夫、変じゃないよ」
「やだやだやだっ!!柳瀬っ、とめてっ、とめてゆびぃ…………っ、ぁ、ぁああッッ、やぁあああっ!!」
は…………っ。
はぁ。
はぁ。
息。
出来ない。
目が、チカチカする。
頭に酸素が足りない。
「莉央ちゃん」
ちゅ、て。
軽いキスをして。
「いい子。ちゃんと上手にイけたね。…………かわいい」
柳瀬の優しい手が、頭を撫でる。
ああ。
この手。
好きだなぁ。
目を閉じて、柳瀬のおっきな手のひらへと擦り寄った。