第8章 幸せ

「やな、やなせっ！！」



手、が。
服の中へといつのまにか侵入してきて、下着の上から胸へと触れて。



「これ以上は駄目っ！！本気で怒るよ！！」



「それは嫌だ」




本気ですでに怒ってますが、柳瀬には伝わったようで。
すぐにするりと柳瀬は離れて行った。


…………こーゆー線引きは、上手いと思う。


あたしが本気で嫌がれば、柳瀬はそれ以上してこない。
逆に言えば。
あたしが本気で嫌がらなければ。



柳瀬は何を言ってもやめてはくれない。










「…………や‥っ、も、それやぁ」


「やだ？」
「やだ…………っ」
「でも好きでしょ？耳、気持ちーね。一緒されるの好きじゃない？」



耳を舐めながら。
柳瀬の指先が割れ目を撫でる。
さっきからずっと。
一緒にベッドで眠るようになってから。
柳瀬は毎回毎回、あたしに触れるようになった。




「わ…………っ、かんな、しらない…………っ」
「んー、じゃわかるまでしてあげるね」
「や…………っ」



舌が。
音が。
耳から脳を犯す。
動き回る指先が、激しく弱点を攻め立てる。



「やなせもぉ…………っ、おわりっ、おわりぃっ」
「じゃぁ言って」
「っ」


こんな時。
柳瀬は絶対にあたしを離してくれない。
本気で嫌がってはいるんだけど。
柳瀬は楽しそうに、いつも攻め立てる。



「それ（理性）、邪魔だね」



「や…………っ！？だめっ、だめだめだめっ、ゆびぃっ、はや、いの、やだぁっ」
柳瀬の手のひらが額を押さえつけて。
耳の中を舌が犯す。
指先が、割れ目を往復する速さを増し激しくなる。
「や、な、せ…………っ、もぉやだっ、やめっ、とめ、とめて止まってぇ！！」
額を押さえていた手が、顎を捉えて。
顔を完全に固定する。
耳が、ゾワゾワとおかしくなって。
声が止まらない。



「…………っ、す、き…………っ、すき、だからもぉ、やめっ」


「うん」



舐めるのを、やめて。
柳瀬が耳元で低く、囁いた。




「好きならもっと、してあげる」