第1章 愛して欲しい
「莉央ちゃん、キス好き?」
やっと離れた柳瀬の唇を目で追えば。
嬉しそうな柳瀬の声。
「気持ち良かった?これ」
指先で濡れた唇を弄び、また、唇が重なる。
「今度は抵抗しないね」
すんなりと侵入を許した自分にもびっくりしてる。
けど。
何故だか名残惜しく感じたことも事実で。
柳瀬のキスは、気持ちいい。
「っ」
キスの合間に。
指先が胸へと伸びてきて。
身体が反応、する。
「お願いこれ、外して。逃げないから」
「…………」
「お願い。これ、痛い」
「痛かった?ごめん、外すから」
こわい。
から、目隠しも取ってくれて。
いたい。
なら、拘束も外す。
基本。
あたしの嫌がることはしない。
のに。
「やだ…………っ、柳瀬指、やだ」
指先が、胸を捕らえて離してくれない。
右手は胸の先端をこねるように強くしたり弱くしたり。
左手は、先端へと爪先を当ててカリカリ引っ掻き撫でる。
引き離そうと両手を伸ばすけど、絶対睡眠薬以外にも盛られてる。
力、入んない。
ただ柳瀬の腕にしがみついてるみたいにしか、ならない。
「柳瀬、ってば…………っ」
さっきから黙々と、やたら唇だったり頬、首、顎にキスを降らせるだけで顔色ひとつ変えないこいつにも、もちろん腹立つ。
「ねぇ…………っ」
それよりもっと腹立つのは。
「ほんとにそれ…………ッッ!!やだ!!」
さっきから柳瀬の手の動きに合わせて身体の熱が生まれる。
ゾクゾクが、増えていく。
「やな、せ指…………っ、いい加減止めて」
息が。
知らずと荒くなってくのがわかる。
自分の身体に。
1番腹立つ。
「…………莉央ちゃんのその、やだは本気のやだじゃないからやめない」