第5章 ♡心も体も恋に堕ちて

　熱い息と共に私の耳へ贈られた言葉に全身が燃えるように熱くなる。恥ずかしさから震える手で目元を隠すと「何で顔隠すん」と不満げな声が降ってきた。見られたくないからに決まってるでしょ、と言う暇もなく彼の手によって退けられた手の隙間から宗四郎くんと目が合う。
　ほんのり色づいた目尻を緩ませながらとても嬉しそうに笑うものだから……ずっと見ていたくて目が逸らせなくなってしまう。こんなに優しい顔で抱いてくれるんだ、って思ったらお腹の奥がきゅんと疼いて彼に愛を伝えている。

「っふ、さっきからめっちゃ愛液出てきて、かき混ぜるたびにぐちゅぐちゅ言うてる」
「お、あっ、やら！　耳元やだ！」
「けど、随分気持ちよさそうやで？　乳首弄りながら言葉攻めされて、Gスポット突かれて。奥までちゃんと濡れとるみたいやし、ええ子やなあちゃん」
「ひ！　ああん、あっあっ、そうしろ、く」
「もうちょい奥まで入れるわ、なッ！」
「っう！　んんぅ！」

　肌と肌がぶつかる音がする中、ごつりと最奥を穿たれ私の喉から声にならない声があがる。
宗四郎くんが一番奥まで来ると、彼に埋め尽くされた感があって幸せな気持ちになる。必死に腰を振っている宗四郎くんが可愛くて両手を伸ばせば、猫のようにすりすりと頬を寄せてくれた。やっぱり可愛い。
　先ほどよりも性急になってきた腰の動きに、彼の限界が近いんだと感じ、宗四郎くんの頬を撫でていた両手を彼の背中に回してぎゅっと密着した。

「っはあ、もうイキそお」
「ああっ、は、そーしろくんっ、そうしろぉくん」
「なあキスしながらイキたい、キスしながらイッてもええ？」
「ふう、んっ、だめっ」
「えっ、あかんの？」

　まさか断られるとは思っても見なかったのだろう。目を丸くした宗四郎くんはちょっとショックを受けている様子。

「宗四郎くんが……イクときの、顔、見たいから、だめっ」
「ン゙。ふはっ、わかった。ほんならイクまでちゅーさして」

　こくこくと頷いて薄く唇を開けるともはや何度目かわからない宗四郎くんの熱。どちらの唾液かもわからないほど、口内はぐちゃぐちゃでめちゃくちゃで。ほどなくして離れた唇を名残り惜しく目で追っていると「あかん、もう出る」と苦しげに息を吐いた宗四郎くんが私を見下ろしている。
　薄暗い部屋には私たちと荒い息と淫猥な水音だけが反響していた。