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【保科宗四郎】副隊長は思ったより私のことが好きらしい【怪8】

第5章 ♡心も体も恋に堕ちて


 私に意地悪をしたくなった宗四郎くんの気持ちが今ならわかる。これは……クセになるやつ。

「っは──ちょ、ほんまに」
「宗四郎くんの体は正直だよ?」
「ちゃん……っ!」
「私で宗四郎くんに気持ちよくなってほしいし、宗四郎くんに求めてもらいたいの。……宗四郎くんはここまで頑張った私に恥、かかせたりしないよね?」
「その言い方はズル過ぎん? 断れへんわ……」
「断られないような言葉を選んだもん」
「はあ……敵わんわ」

 困ったように笑った宗四郎くんの眉毛がへにょりと八の字を描いていて、随分と可愛い様子の恋人に思わず笑ってしまう。そんな私が不服だったのか、むすっと口を歪ませた宗四郎くんが私の手首を掴んで再びベッドへと押し倒す。ビー玉のように綺麗な彼の瞳に映る私は心底幸せそうな顔をしていた。
 掠れた声で私の名前を呼ぶ宗四郎くんの唇は少し震えていて、どうしたものかと最後の理性が働いているかのよう。「それとも私じゃ役不足?」と問いかければ、息が詰まったようにぐっと眉根が寄った。……珍しいなあ、こんなにも感情に素直な宗四郎くん。

「ちゃんが大事なんや」
「知ってる。だから、めいっぱい優しく抱いてくれるでしょ?」
「どこでそんなん覚えてきたんや。小悪魔すぎるやろ……」
「んっふふ、宗四郎くんをメロメロにしてやるぜー」
「これ以上させんな。心臓爆発するわ」

 二人で笑い合ったあと、宗四郎くんの眼差しが打って変わって真剣なものに変わる。「ほんまにええんやな?」と聞かれ、小さく頷く。急に恥ずかしさを覚えてしまった私は照れ隠しに彼の背中へと腕を回して、その胸に顔をうずめる。私と同じ……もしくはそれ以上に早い鼓動が聞こえてきて、緊張したりドキドキしてるのは私だけじゃなかったんだとちょっと安心。
 寄り添っていると心臓のリズムがどんどん一定になって、まるで二人がひとつになったみたいな感覚で。これが幸せなんだと思わずにはいられない。

「後悔させやんから」
「しないから、もっと好きにしていいんだよ?」
「……あんま僕のこと甘やかしたらあかん」
「何で?」
「ええ子でおられへんくなる」
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