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【保科宗四郎】副隊長は思ったより私のことが好きらしい【怪8】

第5章 ♡心も体も恋に堕ちて


 いつもより掠れた声で「触ってもええ?」と私にお伺いを立てる彼はきっと確信犯。ダメだなんて言われると思っていないと思うし、今までこれでどれだけの女性を泣かせたんだろうとも思う。罪な男だ。
 こくりと小さく頷けば、宗四郎くんは嬉しそうに微笑んで服の上から私の胸に手をかけ──。

「……」

 て、止まってしまった。
 ほんの少し見開かれた双眼が何回か瞬いたかと思うと私を見て、自分の手を見て。また私を見て何かを確かめるように手を動かしている。

「──っは」
「んぅ、何……?」
「ノーブラやん……」
「……。だって、コンビニにショーツしか無かったんだもん……」

 宗四郎くん家への道すがら。目に入ったコンビニに寄ってもらってとりあえず、と買ったのはショーツと歯ブラシセット。さすがに訓練中につけていた下着をもう一度つけるのは憚られたので、手に入らなかったブラジャーは今日の役目を終えて洗濯機への中へと消えていったのだ。
 正直なところ、恋人の服を素肌に着るのもどうかと思い、五分ほど脱衣所でうんうん唸っていたがこのままでは風邪をひくぞと理性が働き、この服は後日新品を返そうと自分の中で結論付けて今に至るのである。
 何とも言えない顔をしているであろう私を見つめながら、本日何度目かのため息が彼の口からまろび出た。

「ちゃん才能あるわ……天才や……」
「何の?」
「僕をかどわかす才能」
「じゃあ宗四郎くんも天才だよ」
「僕、ちゃんのことかどわかせてる?」
「それはもう。めちゃくちゃ、とっても」
「ふはっ、光栄や」

 そう言って心底嬉しそうに笑った彼は、またやわやわとその感触を確かめるように手を動かし始めた。スゴく気持ちいいとか、そんな感情は残念ながら今の私には湧かないけれど……“宗四郎くんに触られている”と言う事実が妙に私を興奮させる。
 閉じることさえ難しくなってきた口から微かに溢れ出る私の声さえ聞き逃さない、とでも言うように私の口元に顔を寄せた彼は「好き」「可愛い」と息をするよりも軽やかに愛を囁く。
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