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【保科宗四郎】副隊長は思ったより私のことが好きらしい【怪8】

第5章 ♡心も体も恋に堕ちて


「とりあえず僕ん家向かっとるけどええか?」
「宗四郎くん家……?」
「まあ家言うてもほとんど帰ってへんけどな。基地の寮でこと足りるし」
「……」

 正直、宗四郎くんの家は興味ある。あるけど……いきなり恋人のお家はハードル高い気もする。けど私の家へ誘うのもハードル高い……っていうか私も全然家帰ってない。掃除機かけたのいつだったっけ……。ムムムと言う声が漏れていたのか、ふはっと隣から笑い声が溢れた。

「僕の家嫌ならホテルにする?」
「ン゙ッ」
「ははっ。そないビビらんでも」
「だって……」
「取って食わんから」
「食べるって言ってた」
「言葉のあやっちゅーやつですやん」
「……」
「なはは! 信用あらへんなあ、僕。心配せんでも嫌がることはせぇへんから」
「……じゃあ、宗四郎くん家がいい」
「ん。ほならこのまま行こか」
「……別に」
「ん?」
「別に……宗四郎くんとするのが、嫌ってわけじゃないから……その、」
「全部言わんでもわかっとる。あんがと」

 ぽす、と頭の上に置かれた彼の手に何とも言えないむず痒い気持ちになりながら私はもう一度窓の外へと視線を戻した。


△▼△


「いったい何が正解なんだ……」

 宗四郎くんがお風呂に入っている今、どこに座ったらいいのかもわからず、キョロキョロそわそわとつい辺りを見渡してしまうのを許してほしい。だって好きな人のお家だよ? 気にならないわけなくない?
 物も少なく、生活感があまり感じられないからほとんど帰っていないって言うのは本当らしい。なんなら私の家より綺麗だ。……にしても私は今からどうしたらいいんだ。ソファに座るのが正解なのか、寝室……は踏み込む勇気がないから論外。そんなことを考えながらぼーっと突っ立っている。
 知識も経験も乏しい私には難易度が高すぎるよ。鬼畜ゲーだよ。

「ああ、もうっ。早く宗四郎くん出てこないかなあ……」
「そない早う僕に会いたかったん?」
「どこにいたらいいかわかんな──うえっ!?」
「お待たせ。愛しの宗四郎くんやで」
「ふ、ふふふ上の服何で着てないの!?」

 いつもの調子で声をかけてきた宗四郎くんは上の服は着ておらず、惜しげもなく引き締まった肉体美を晒していた。まだ濡れている髪をバスタオルで拭く姿は女の私より色っぽくて何だか負けた気分にさせられる。別に何の勝負もしていないけれど。
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