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【保科宗四郎】副隊長は思ったより私のことが好きらしい【怪8】

第4章 タダより高いものはない


「雑魚のくせに……ッ!」
「私が雑魚ならあなたは? 稚魚?」
「このッ!」
「そんなに怒るとシワが増えますよーっと!」

 後ろに下がりながら右手で威嚇射撃、左手で後方を援護射撃しながら「二人ともリロードのタイミングはズラして! 隙ができてる!」と叱咤すれば「すんません!」と素直な返事が聞こえた。いい子たちだねえ、と思ったけど二人とも『子』って年ではないか。
 宗四郎くんがヒヨコとかヒヨッコって言うから、知り合いの子が大きくなっていくところを眺める親戚のおばちゃんみたいな気分になっちゃった。こんな銃を乱射してる親戚のおばちゃん絶対に嫌だけど。
 それからどれくらい交戦していただろうか。イヤモニに「こちら保科、市川が対象一人を討伐。一人逃亡」と短い報告が入った。
 戦況は五分五分といったところかな……。私と伊春くんが一発、カフカさんが二発もらっていて相手にはみんな一発ずつ鮮やかなピンク色のペイントが着いている。

「よーし、作戦いろいろやろうぜ! から、ガンガンいこうぜ! に変更!」
「了! 小隊長、味方の俺に世界の半分くれますか?」
「世界はあげられないけど、あとでコンビニスイーツくらいは奢ってしんぜよう」
「酒のがいいっす!」
「俺、ゴリゴリ君ソーダ!」
「オッケー! ほんじゃま、そう言うことだから足止めお願いしますね──保科副隊長」

 建物の合間から姿を現した宗四郎くんは「人使いが荒いなあ」とケタケタ笑いながら、まるで初めからそう言われることがわかっていたかのように刀を構えていた。話が早くて助かりますね、ほんとに。
 カフカさんと伊春くんが相手にしていた二人を宗四郎くんと市川くんにお願いし、私たち三人は敵の小隊長を討ち取りに動く。戦場を舞うように駆け抜ける姿は目を奪われるほど美しく、刀身が日の光を浴びて軌跡を描く様は惚れ惚れするほど鮮やかだ。
 よそ見をしていたら後でどやされそうなので、前を向いて銃を構え直す。即断即決! 判断を誤るなよ、私!

「一気に行くぞー!」
「チッ、能無しのくせに!」
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