【保科宗四郎】副隊長は思ったより私のことが好きらしい【怪8】
第4章 タダより高いものはない
「訳ありがいようとやることは変わりません! 私たちの目的は敵小隊を討つこと! 訳ありがいようと!」
「なあ、僕が足引っ張ってるみたいな言い方やめてくれん?」
「うるさい! 今日は私の下についたんだから文句言うな!」
「うわー横暴な小隊長の元に来てもうたわあ」
肘鉄をくらわせようとするも、敢えなく失敗。避けられてしまったので変わりに舌打ちをお見舞いする。「先輩、この二人付き合ってるんですよね?」「そのはずだけど、俺もなんか自信なくなってきた」「え!? この二人付き合ってんの!?」と賑やかな声が聞こえてきて、ごほんと一つ咳払い。
あーだめだめ! 宗四郎くんのペースに飲まれちゃいけない。話が一個も進んでいかないんだもの。
「はいはいみなさん静かに! 今回の合同演習が何でこのチームで組まれたのか、よく考えて演習に励むこと!」
「了!」
「現場では常に最善を尽くして、最良の結果を得られるよう常に考えて動くことが求められます。演習でできないことは実践でもできない!勝ちにこだわって全力で挑むように!」
「了!」
元気なお返事が聞けて満足な私の隣で、こちらを見ている宗四郎くんのまあなんとにこやかなお顔。穴が開きそうなほど見つめられ、その視線に耐えられなくなってきたところで「何ですか?」と問いかけてみる。すると「いやー」なんてもったいぶるものだから、ムと唇を尖らせれば「拗ねんとって」と頬をつつかれた。
拗ねさせてるのはどこのどいつだって話だけどね! 鏡でも渡してやろうかしら!
「僕の彼女、めっちゃかっこええな思ててん」
「……ええ?」
「ヒヨコらが慕うのもわかるわ、ついていきたなる」
「ですよね!? やっぱ副隊長はさすがっす! センパイはかっけーんすよ!」
「……ところでさっきから気になっててんけど。古橋、何でちゃんのことセンパイて呼んでるん? 知り合いなん?」
「センパイは八王子討伐高専時代のセンパイなんです! ね、センパイ!」
「ねー、伊春くん」
「高専時代の……ちゃんの後輩やて……!」