【保科宗四郎】副隊長は思ったより私のことが好きらしい【怪8】
第3章 苦くて甘い人生を
ヒィー! と引き笑いしている宗四郎くんは「好きな食べ物がカレーとハンバーグと酒やとそりゃそうなるわ」とカフカさんの傷口に塩を塗っては楽しそうにしている。これこそモラハラって怒られそうなもんだけどね、なんて死んでも言わないけど。私が死ぬから。
「くっっーーー! 副隊長も三十越えたあたりから覚悟しといてくださいよ……!」
「僕はちゃんと鍛えてるし。そもそも生活習慣が違うからお前みたいにはねらへんねん」
「ぐふっ!」
「いや、何でちゃんがダメージ受けとんの」
カフカさんに向けて放たれた宗四郎くんの言葉が隣にいた私にも当たってクリティカルヒット。改心の一撃、急所に当たってもはや瀕死。耳が痛すぎる。最近体重増えちゃったんだよね……。
宗四郎くんが「モンブランのついでに買うてきたで」って美味しいケーキ屋さんのケーキを差し入れしてくれることが増えたり、それがきっかけでお菓子作りにちょっと興味が出て自分で作っては食べたり。ヤバいヤバいと思いつつ、体重計乗るの怖すぎて最近体重測定避けてたんだよね……。いや! でも!
「そ、そんなこと言いつつ保科副隊長だってモンブラン食べたりしてません!? こないだも私と食べたし!」
「保科副隊長も食べてるじゃないっすか!」
「モンブランかて、好きやからってバカ食いせえへん」
「はうッ」
「ぐッ」
「いいものを少しだけいただくんが大人の嗜みちゃいますか」
「ア"ア……」
「ぐ……っ!」
「せやから何でちゃんまでダメージ受けとんの」
私のヒットポイントはすでにゼロ。何故だか目の前も霞んできた。カフカさんも同じ状況なのか、胸元を押さえながら苦しそうにしている。わかる……わかるよ、その気持ち。打ちのめされるよね、うん。
「何も言い返せない……!」
「カフカさん! お気を確かに!」
「ぺーぺーのお前が僕を言い負かそうっちゅうんが百年早いわ。せーぜー気張ってその腹ひっこめや」