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【保科宗四郎】副隊長は思ったより私のことが好きらしい【怪8】

第2章 混ぜるな危険


 宗四郎くんからの返事を待っていてもなかなか返ってこないので……やっぱめんどくさく思ったのかな、と顔を上げようとしたとき。はあーーーとクソデカため息が聞こえてきて、顔が上げられなくなってしまった。なんなら今日はもうずっと視線を合わせない方向でいきたい。心が死ぬ。

「ちゃんさあ」
「はい……」
「そんなこと気にしとったん?」
「もういい。保科くんのバカ、アホ、おたんこなす、人でなし」
「そう拗ねんといて」
「拗ねてない。怒ってる」
「もっとあかんやつ」
「私にとってはそんなことじゃないの! ……好きな人にめんどくさいって思われたくないじゃん」

 ほんとバカバカバカ。もう名前で呼ばない。と子どものように不平不満を言い出した私を可笑しそうに見ている保科くん。笑うんじゃないよ、こんちくしょう。
 カフカさんに偉そうなことを言ったけれど、女は二言だらけなのよ。仕事ではきっちりしていても私生活では不平不満も言いたくなるのよ。恋は人を強くするらしいけどダメにもなっちゃうのよ。
 それに……どうせ彼の元カノは私よりいろいろと大人なんでしょーし。そう──いろいろと。そう思いながら自分の胸元に視線を落とす。……うん、余計自信なくなったわ。

「僕が好きな子ぉのことメンドくさいって思うような甲斐性なしに見えんの?」
「……わかんないから聞いた」
「それもそやな。ちゃんが処女やろうが何やろうが、別になーんもメンドないで。むしろ初めてが僕やったら嬉しいなぁて思う」
「ほんと?」
「ホンマ。やからもう僕のこと苗字で呼ぶん止めや、寂しなるわ」
「……ん、わかった。ごめん」
「僕も紛らわしぃてホンマごめんな? 僕に好かれようと一生懸命なちゃん可愛すぎて可愛すぎて」

 ちゅっちゅっと可愛らしい音を立てながら私の頬へ何度もキスをする宗四郎くん。相変わらず彼に力強く抱き締められているせいで身動きは取れないけれど、可愛いって言われて嫌な気はしないから言葉の魔法ってほんと凄いなあ。私がチョロいだけかもしれないけど。
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