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【保科宗四郎】副隊長は思ったより私のことが好きらしい【怪8】

第2章 混ぜるな危険


 ここまで骨の軋む音が聞こえてきそうなくらいカフカさんの肩を強く掴む……というかほぼ握り潰している宗四郎くんの脅しにカフカさんは壊れた玩具のように首を縦に勢いよく振っている。……ちょっと可哀想すぎやしないだろうか。
 カフカさんの返事に満足したらしい宗四郎くんは「そうかそうかあ」と白々しい受け答えをしながら、にぱっと八重歯を覗かせて笑顔を作った。意地悪だなあとは思っていたけど、ここまで来るともはや暴君に見えてくる。自分の恋人ながら恐ろしいよ。

「ちょーーーっとでもその口滑らしてみ? ──東京湾に沈めて魚のエサにしたるでな」

 明日の朝日を拝めないのはカフカさんだったか。顔面を真っ白にしながらガクガク震えているカフカさんに心の中で合掌しながら宗四郎くんの名前を呼ぶと、先ほどまでとは打って変わって朗らかーな笑顔で「何や?」と問いかけてきた。
 あまりにも可哀想なカフカさんを逃がしてあげようと思い、ちょいちょいと宗四郎くんを手招き。素直に私の隣まで歩いてきた彼はむぎゅりと私を抱き締める。ちょっと苦しいけれど我慢我慢。

「宗四郎くん宗四郎くん。このあとのご予定は?」
「特にあらへん」
「見たい映画があるのですが」
「ほう」
「ちょっといいワインとチーズもあるのですが」
「ワインええなあ」
「でしょ? 私の部屋で見ませんか」
「見る」
「はい。じゃあ私の部屋まで行きますよー」

 私にべったりと張り付いている宗四郎くんを引きずりながらカフカさんに目で合図を送る。あとは任せろ、と。パアアと笑顔の花が咲いたカフカさんを見てホッと胸を撫で下ろしていると、くるりと顔だけで後ろを振り返った宗四郎くんの「命拾いしたな。ちゃんに感謝しぃや」の二言で私たち二人の肝はずいぶん冷えることとなったのだけれど。

「何でもお見通しだね」
「いやはや、何のことやらさっぱりや」
「はいはい、そうですねー」

 誰もいない夜の廊下を二人で歩く。いけないことをしているわけではないのに、つい声を潜めてしまうのは何でだろう。にしても……カフカさんを助けるためとは言え自室に宗四郎くんを呼ぶのはまずかったかな。
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