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【保科宗四郎】副隊長は思ったより私のことが好きらしい【怪8】

第2章 混ぜるな危険


「俺、保科副隊長に報いたくて」
「保科副隊長に?」
「解放戦力一パーセントの俺を拾ってくれたのが副隊長なんす。だから──」
「僕がなんやて?」

 急に聞こえた声にカフカさんと二人して振り返ると、そこには開いた扉に身を預けるようにして立っている宗四郎くんがいた。いつもの飄々とした感じはあるのに……何だか不機嫌そう? どうしただろうかと彼の次の言葉を待っているとその視線はカフカさんから私、そしてがしりと握りあっている両手、また私へと戻ってきてから片眼がうっすらと開かれた。
 あ、これは……お怒りのご様子。今から何を言われるんだろうと考えてしまい、私の表情は思わずスンと真顔になる。カフカさんは「お疲れさまです!」と元気に挨拶しているけれど察した方がいいと思う、いろいろと。

「こんな夜更けに逢い引きでもしとんのか?」
「逢い引き!? 俺と? 小隊長が? ははっ、んなことあるわけないじゃないすか!」
「ほんならその手はなんなん?」
「手?」

 はて。とでも言いたげな顔でカフカさんは私の手をがっしりと握りしめた自分の手を見て少し動きを止めたあと、真っ赤な顔をしながら勢いよく私から手を離した。「いや! これは!」とあわあわしているカフカさんを見ながら慌てると余計に変に思われるのでは……とどこか他人事のように頭の片隅で考える。
 言い訳をする必要はないのだろうけれど、何て言えば丸く収まるだろうかと大して持っていない脳みそをフル回転。そんな私の様子すら見透かしていそうな宗四郎くんは「ふーん?」といぶかしげに私たちを見ていた。い、いたたまれない……!

「何もあらへんのに手ぇ繋いでたっちゅーわけか」
「保科副隊長、これに深い意味があったわけではなくて……話の流れでと言いますか」
「そ、そうなんです! 興奮のあまりついと言いますか! ちょっとやっちゃったと言いますか!」
「は? 興奮? ヤっちゃった? 誰が誰にナニしたんや、はよ言え」
「カフカさんは! しばらくっ! 口閉じててくださいッ!」
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