【保科宗四郎】副隊長は思ったより私のことが好きらしい【怪8】
第2章 混ぜるな危険
まさか、とでも言いたげなカフカさんに頷きながら「私も解放戦力低くて」も苦笑いしながら伝えれば驚いたように彼の目が開かれた。何とも言えない表情をしたカフカさんから視線を外してノートの字を指でなぞる。
「小隊長の解放戦力は四十パーセント以上って言われているけど私は二十八しかないの」
「二十八……」
「そ。だから私も人一倍頑張ら──」
「解放戦力が低くても小隊長になれるんすね!」
私の言葉に被せるように言われたカフカさんの言葉に「へ」と間抜けな声を漏らす。興奮冷めやらぬと言った様子で目をキラキラと輝かせているカフカさんを見ながら、正直どこに興奮要素があったかわからないでいると「小隊長!」と大きな声で呼ばれてした返事は物凄く上ずってしまった。……恥ずかしい。
思わぬ失態に視線を逸らしながら口の端をひくつかせていると両肩をがしりと勢いよく捕まれ、今度はおもいきり体を跳ねさせた。絶対こんなビビりなやつが小隊長なのかと思われた……。
「どうしたら小隊長みたいに解放戦力低くても強くなれますか!?」
「いや、私は弱くてですね……怪獣討伐もあまり──」
「そういう物理的な強さじゃなくて! こう、なんつーの? 解放戦力が低くても自分の役割りを最大限果たしてみんなに貢献できる、自分だけの強さと言うか!」
「自分だけの強さ……」
今まで考えとことのない方向から意見をぶつけられて、私の固定観念がバキバキと豪快に割れた音がしたような気がする。そんな物の見方もあるのかと思ったのと同時に、私の存在が誰かの希望になりうるのだと気付かされて私の中にぽっかりと空いていたものが埋まったような気分になった。
嬉しさからほんのり色づいたであろう頬を隠すよう、片手で口元全体を覆って考えている素振りをする。私の強さの源……か。