【保科宗四郎】副隊長は思ったより私のことが好きらしい【怪8】
第1章 誰よりも
猫のようにすり寄ってくる宗四郎くんに絆されながら、私も少しだけ彼に寄りかかってみる。トレーニングルートで自主トレを始めたときはこんなことになるなんてミジンコほどにも思わなかったなあ。
「ちゃんの凄さは僕が知っとればええねん。これからも僕のこと助けてな?」
「うん……一生懸命がんばる」
「しいてはまずちゃんのこと悪ぅ言うたやつボコボコにするか」
「いや、それはさすがに不味いんじゃ……」
「何言うてますん。ボコボコにできるんは何も物理だけやちゃいまっせ?」
「ええ、怖っ。何? 精神攻撃?」
「楽しみに待っとり。僕の彼女ちゃんに手ぇ出した罪は重いてわからせたるわ」
「怖あ……」
その日を境に「京言葉って知っとるか?」と言いながら「ハッキリしてますなあ」「君、丁寧な仕事しとるなあ」と褒める宗四郎くんを見ることが増えて、あーこういうことかー……と心の中でお相手に合掌しつつも、私は思った以上に愛されているんだなって事実に嬉しくなったことは宗四郎くんには秘密にしておこうと思う。
「ほな、せいぜいおきばりやすー」
END