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【保科宗四郎】副隊長は思ったより私のことが好きらしい【怪8】

第1章 誰よりも


「ずっと待てはさすがにツラいで?」
「ッ、保科くんのことが……好き、デス」
「やあっと言うてくれた」

 両手で私の顔を包み込むように優しく撫ぜる保科くんはそのままゆっくりと顔を近づけ、触れるだけの可愛い口付けを落とす。初めて触れ合った未熟な熱に体がやんわりと火照っていくのを感じ、欲の籠った息を小さく吐き出した。
 余裕そうな表情で「キスんときは目ぇ閉じんかい」と言われたが、そもそもいきなりキスしてくる方が悪いと思う。いや、今からキスするでーなんて宣言されるのも困るけれど。
 文句のひとつでも言ってやろうと口を開けた瞬間また口を塞がれ、待ってましたと言わんばかりに保科くんの舌が私の口内に侵入。逃げ惑う私の舌を追いかけ回しては絡めとり、弄ぶ彼のせいで口の隙間からあられもない声が漏れてしまう。どうにか抑えたいのにそれすら許してもらえなくて……しまいにはくちゅくちゅとお互いの唾液が絡む音が辺りを支配した。

「んっ……っはあ」
「初キッスはモンブランの味やな」
「馬鹿!」
「これで元気出たんちゃう?」
「……知らない」
「ふはっ、僕のおひいさんはツンデレやな」

 さっきまでの扇情的な表情とは違い、にこにこと人好きのする笑顔で私を見つめる保科くんに恥ずかしくなってついとそっぽを向く。そんな私の様子すら楽しそうに喉を鳴らしている彼すら愛しいと感じるのだから恋の力は偉大だ。

「私の王子さまは意地悪だ」
「そんなまたまたー。こんなええ男おらんやろ」
「自分で言う辺り胡散臭い」
「誰が胡散臭いや!」
「宗四郎くん」
「! 今、名前っ」
「意地悪したからもう呼ばないけどね」
「え"。ちょ、それは堪忍してぇな」

 ちゃーんと私のご機嫌を取ろうとする宗四郎くんに悪い気はしなくて、いつもとは反対になった立場に思わずくすくすと笑いが溢れた。私の一言で一喜一憂する彼を見るのは正直ちょっとした優越感があって、小さな高揚感に見舞われる。
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